山崎法律事務所ブログ

2013年11月10日 日曜日

事業承継(第2章 民法の原則に従ったときの不都合性 第2款 遺留分問題回避の困難性)

1.遺言書の記載により遺留分問題を回避することの困難性

遺言書作成のときに,後継者以外の相続人の遺留分を確保した内容の遺言書を作成すれば,理論上は遺留分による争いは起きにくいように思えます。
しかし,問題はそのように簡単ではありません。
例えば,遺言書作成のとき,予想される相続財産が3,000万円,うち株式の価値が1,500万円とします。
 すると,遺留分の計算は,前回お話しした計算と同じですので,妻750万円+子ども150万円×4=1,350万円となります。
 これであれば,後継者に株式の全てを承継させたとしても,後継者でない相続人の遺留分を侵害していません。
現実には,本宅などについても後継者に相続させたいと思うことでしょう。
そのような相続をさえるときでも,株式の過半数を後継者に承継さえれば,会社の支配権を後継者に取得させることができます。
従って,株式のうち過半数を後継者に相続させる内容の遺言書を作成すれば良いことになります。
 しかし,御社の業績が向上して,株式の価値が上がったとします。
 ところで,先ほどの例で,1,500万円であった株式の価値が3,000万円になったとします。
すると,相続財産は株式以外の相続財産に増減がないとすれば,4,500万円になります。
 ちなみに,株式の価値は,証券取引所に上場していないときには,会社の資産を基準にしますので,御社の業績が向上して,会社の資産が増えれば,株式の価値も増加することになります。
 すると,この株式の価値が3,000万円になったところで,遺産分割が行われたとしますと,1と同じ家族構成(妻+子ども5人)であれば,その遺留分は,妻の遺留分が,4,500万円×1/2×1/2=1,125万円,子ども1人あたりの遺留分が,4,500万円×1/5×1/2=450万円となり,遺留分合計は2,295万円になります。
株式についてこの遺留分を主張されれば,後継者は会社の支配権を取得することが困難になります。
 
2  遺留分放棄制度の限界

 民法1,043条では,遺留分放棄の手続を定めています。
 しかし,この手続は,遺留分を放棄しようとする者が,それぞれご自身で家庭裁判所に申立をして許可を得る必要があります。
 さらに,遺留分の放棄は,全ての相続財産について遺留分を放棄する,または遺留分の一部を放棄する場合であっても特定の財産について,その全てを放棄しなければならず,柔軟性に欠ける点があります。


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